インターン講義初日「Perlによるオブジェクト指向プログラミング」by id:hakobe932の資料と録画を公開します。前半はUst放送が安定しなかったため、録画は後半のみとなってしまっています。
明日はAM10:30より、JavaScript で学ぶ イベントドリブン(id:cho45)を放送しますので、是非ご覧ください。Ustream放送の機材調整もしておりますので、安定した放送ができると思います。
自己紹介
- id:hakobe932 (はこべ)
- はてなスタッフ1年生
- はてなココチームのエンジニア
- Perlだいすき!
- JavaScript/Ruby/Javaも使います。
- 最近はScalaがブームです。型かわいい
インターン1期生でした
- きっちり2年前
この講義の目的
- 明日以降、Perlではまらない
- 今日、いろいろやって、なるべくはまってください
- 疑問があったらどんどん質問してください
目次
- Perlプログラミング勘所
- Perlによるオブジェクト指向プログラミング
- テストを書こう
- ヒント
- 課題について
Perlプログラミング勘所
質問
- Perlでプログラミングをしたことがありますか?
- 前提
- はじめてのPerl、続はじめてのPerlに目を通している
- 一度はPerlでオブジェクト指向プログラミングしたことがある
質問
- Perl好きですか?
(´;ω;`) ぶわっ
- いいところもあるよ!
Perlの良いところ
- CPAN
- やりたいことはすでにモジュール化されてる
- それCPANでできるよ
- 非常に柔軟である
- TMTOWTDI (やりかたはいくつもあるよ!)
- 使われてる
- はてな/mixi/Livedoor/SixApart
- 良い開発文化がある
Perlプログラミング勘所
- Perlでおさえておきたい/よくはまるポイントを説明
- use strict;use warnings;
- データ型
- コンテキスト
- リファレンス
- パッケージ
- サブルーチン
use stirct;use warnings;
- ファイルの先頭にはかならず書きましょう
use strict; use warnings;
- しょうもないところではまらないために必須です
書かないと困ること
my $message = "hello"; print $messsage; # => エラーにならない! $messagge = "bye"; # => $messagge がグローバル変数になる!
$ perldoc strict $ perldoc perllexwarn
データ型
- スカラ
- 配列
- ハッシュ
- (ファイルハンドル)
- (型グロブ)
スカラ
- 1つの値
- 文字列/数値/リファレンス
- $calar と覚えましょう
my $scalar1 = "test"; my $scalar2 = 1000; my $scalar3 = \@array; # リファレンス(後述)
配列
- @rray と覚えましょう
my @array = ('a', 'b', 'c');
- Q:@arrayの二番目の要素を取得するには?
配列の操作
print $array[1]; # 'b'
- スカラを取得するので$でアクセス
- $array と @array とは別の変数
配列の操作
$array[0]; # get $array[1] = 'hoge'; # set my $length = scalar(@array); # 長さ my $last_ids = $#array; # 最後の添字 my @slice = @array[1..4]; # スライス for my $e (@array) { # 全要素ループ print $e; }
- チェックしておこう!
- 関数: push/pop/shift/unshift/map/grep/join/sort/splice
- モジュール: List::Util/List::MoreUtils
ハッシュ
- %ash とおぼえましょう
my %hash = ( perl => 'larry', ruby => 'matz', );
- Q:hashのkey:perlに対応する値を取得するには?
ハッシュの操作
print $hash{perl}; # larry print $hash{ruby}; # matz
- スカラを取得するので$
- $hash と %hash は別の変数
- {} の中は裸の文字列が許される
ハッシュの操作
$hash{perl}; # get $hash{perl} = 'larry'; # set for my $key (keys %hash) { # 全要素 my $value = $hash{$key}; }
- チェックしておこう!
- 関数: keys/values/delete/exists
データ型まとめ
- スカラ-$ /配列-@ /ハッシュ-%
- $val と @val と %val は別の変数
$ perldoc perldata
コンテキスト
- Perlといえばコンテキストでハマることで有名
- 式が評価される場所( = コンテキスト)によって結果が変わる
my @x = (0,1,2); my ($ans1) = @x; my $ans2 = @x;
- それぞれ何が入っているでしょうか?
コンテキスト
my @x = (0,1,2); my ($ans1) = @x; # => 0 my $ans2 = @x; # => 3
- 配列への代入の右辺はリストコンテキスト
- 0が代入される。1,2 は捨てられる
- スカラへの代入の右辺はスカラコンテキスト
- リストはスカラコンテキストで評価すると長さが返る
- こわ…
コンテキストクイズ
- <ここ> のコンテキストはスカラ? リスト?
sort <ここ>; length <ここ>; if (<ここ>) { } for my $i (<ここ>) { } $obj->method(<ここ>); my $x = <ここ>; my ($x) = <ここ>; my @y = <ここ>; my %hash = ( key0 => 'hoge', key1 => <ここ>, ); scalar(<ここ>); <ここ>;
コンテキストまとめ
- 式/値が評価される場所によって結果がかわる
- コンテキストの決まり方は覚えるしかない
- 組み込み関数に注意 (length など)
$ perldoc perldata $ perldoc perlsub # Prototype の章
リファレンス
- スカラ/配列/ハッシュ などへの参照
- C++とかの参照/Rubyの普通の値
- データ構造を作るときに重要
データ構造はまりポイント1
- 行列をつくろう
my @matrix = ( (0, 1, 2, 3), (4, 5, 6, 7), );
- どうなるでしょうか…
こうなります
my @matrixt = (0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7);
- ひー
データ構造はまりポイント2
my %entry = ( body => 'hello!', comments => ('good!', 'bad!', 'soso'), )
- どうなるでしょうか…
こうなります
my %entry = ( body => 'hello!', comments => 'good', bad => 'soso', );
- ひー
なぜか?
- () の中はリストコンテキスト
- リストコンテキストないではリストは展開される
my @matrix = ( (0, 1, 2, 3), (4, 5, 6, 7), );
- リファレンスはスカラ値
リファレンスの取得/作成 (配列)
my @x = (1,2,3); my $ref_x1 = \@x; # 略記法 $ref_x2 = [1,2,3]; # 組み合わせ $ref_x3 = [@x];
デリファレンス (配列)
my $ref_x = [1,2,3]; my @x = map { $_ * 2 } @$ref_x; print (@$ref_x)[0]; # 1 print $ref_x->[0]; # 1
リファレンスの取得/作成 (ハッシュ)
my %y = ( perl => 'larry', ruby => 'matz', ); my $ref_y1 = \%y; # 略記法 $ref_a2 = { perl => 'larry', ruby => 'matz', }
デリファレンス (ハッシュ)
my $ref_y = { perl => 'larry', ruby => 'matz', }; my @keys = keys %$ref_y; print (%$ref_y){perl}; # larry print $ref_y->{perl}; # larry
データ構造の作成
- リファレンスはスカラ値
my $matrix = [ [0, 1, 2, 3], [4, 5, 6, 6], ];
my $entry = { body => 'hello!', comments => ['good!', 'bad!', 'soso'], };
複雑なデリファレンス
- 例: リファレンスを返すメソッドの返り値をデリファレンス
my $result = [ map { $_->{bar}; } @{ $foo->return_array_ref } # ↑ ブレースを使う ];
おすすめ
- 基本的にリファレンス以外使わない
my @foo = (1, 2, 3); my %foo = ( a => 1, b => 2, c => 3); $foo[1], $foo{a} # ↑ 同じ変数を参照しているように見える…… # が実際は違う変数
my $foo = [1, 2, 3]; my $foo = { a => 1, b => 2, c => 3}; # ↑ 同じ変数なので warning がでる
おすすめ
必要なときだけデリファレンスする
my $list = [1, 2, 3]; push @$list, 4;
普通のリスト/ハッシュが使われる場所
- サブルーチンの引数の処理
- 多値を返すとき
sub hello { my ($arg1, $arg2, %other_args) = @_; return ($arg1, $arg2); } my ($res1, $res2) = hello('hey', 'hoy', opt1 => 1, opt2 =>2);
リファレンスまとめ
- スカラ/配列/ハッシュへの参照
- データ構造つくるときに良く使う
- 記法がちょっと複雑
$ perldoc perlreftut $ perldoc perlref
パッケージ
- 名前空間
- モジュールロードのしくみ
- クラス
package Hoge; our $PACKAGE_VAL = 10; # $Hoge::PACKAGE_VAL sub fuga { } # &Hoge::fuga; 1;
モジュールロードのしくみ
use My::File; # => My/File.pm がロードされる
- @INCに設定されたパスを検索
use lib '/path/to/your/lib'; $ perl -Ilib '/path/to/your/lib';
サブルーチン
&hello; # 定義前は&がいる sub hello { my ($name) = @_; # @_内の自分で処理 return "Hello, $name"; } hello(); # 定義後であれば & は不要
引数処理イディオム1
sub func1 { my ($arg1, $arg2, %args) = @_; my $opt1 = $args{opt1}; my $opt2 = $args{opt2}; } func1('hoge', 'fuga', opt1 => 1, opt2 => 2);
引数処理イディオム2
sub func2 { my $arg1 = shift; # 暗黙的に@_を処理(破壊的) my $arg2 = shift; my $args = shift; my $opt1 = $args->{opt1}; my $opt2 = $args->{opt2}; } func1('hoge', 'fuga', {opt1 => 1, opt2 => 2});
引数処理イディオム2
sub func3 { shift->{arg1} }
sub func4 { $_[0]->{arg1} } # @_ の第0要素
サブルーチンの名前空間
- パッケージに定義される
pacakge Greetings; sub hello { } 1; # &Greeting::hello();
pacakge Greetings; sub hello { sub make_msg { } sub print {} print (make_msg() ); } 1; # &Greeting::hello(); # &Greeting::make_msg(); # &Greeting::print();
Perlでデバッグ
- use Data::Dumper; を良く使います
use Data::Dumper; warn Dumper $value; # スカラ値がよい
- エディタのマクロに登録しておこう!
質問
- オブジェクト指向プログラミングしたことありますか?
- Perl以外でも
ですよねー
- 念のためポイントだけおさえておきます
プログラミングにおける抽象化の歴史
- 抽象化とは
詳細を捨象し、一度に注目すべき概念を減らすことおよびその仕組み (WIkipediaより)
- 一度に考えないといけないことを減らす
- = スコープをせばめる
- 保守性/再利用性に寄与
非構造化プログラミング時代
- gotoプログラミング
- 制御のながれがすべて自由
- Perl で gotoプログラミングした例(fizzbuzz)
my $i = 1; START: goto "END" if $i > 35; goto "PRINT_FIZZBUZZ" if $i % 15 == 0; goto "PRINT_FIZZ" if $i % 3 == 0; goto "PRINT_BUZZ" if $i % 5 == 0; goto "PRINT_NUM"; PRINT_NUM:_ print $i; goto "PRINT_NL"; PRINT_FIZZ:_ print "fizz"; goto "PRINT_NL"; PRINT_BUZZ:_ print "buzz"; goto "PRINT_NL"; PRINT_FIZZBUZZ:_ print "fizzbuzz"; goto "PRINT_NL"; PRINT_NL:_ print "\n"; $i++; goto "START"; END:
非構造化プログラミングの問題
- 制御の流れが分かりにくい
- プログラム全体を見渡す必要
- 大規模なソフトウェアになると保守できなくなる
- コードの再利用が実質的にはできない
- "Go to statement considered harmful"
構造化プログラミング
- 手続きを逐次、選択、繰り返しで表現
- サブルーチンにより手続きを抽象化
sub fizzbuzz { my $i = 1; while ($i < 35) { if ($i % 15 == 0) { print "fizzbuzz"; } elsif ($i % 3 == 0) { print "fizz"; } elsif ($i % 5 == 0) { print "buzz"; } else { print $i; } print "\n"; $i++; } } fizzbuzz();
構造化プログラミングのみを用いる問題
- 手続きとデータがばらばら
open my $fh, '<', $filename'; while (my $line = readline($fh)) { print $line; } close $fh;
- $fhに対してどのような操作ができるのか?
- open/close/readline はどんなデータを操作できるのか?
- => スコープに入っているコードをすべて調査しないとだめ
オブジェクト指向プログラミング
- オブジェクトによる抽象化
- オブジェクトとは
- プログラムの対象となるモノ
- データ + 手続き
- プログラムはオブジェクト同士の相互作用
- "どう"ではなく"なにがどうする"に着目する
オブジェクト指向プログラミングの良いところ
- 処理の対象(データ)と処理の内容(手続き) が結びついている
- オブジェクトごとにコードを理解できる
- 再利用しやすい
- オブジェクトというメタファが人間にとってわかりやすい
- => 設計しやすい
例
use IO::File; my $file = IO::File->new($filename, 'r'); while (my $line = $file->getline) { print $line; } $flie->close;
オブジェクト指向プログラミングの実現
- オブジェクト間の相互作用/メッセージパッシング
- プログラミング言語の機能で実現
- クラスとインスタンス
- カプセル化
- 継承
- ポリモーフィズム
- ダイナミックバインディング
本題
Perlにおけるクラスとインスタンス
クラス: [ データ構造定義 + 手続定義 ] ↓ 生成 インスタンス: [ { データ } + 手続への参照 ]
クラス | パッケージ |
メソッド | パッケージに定義された手続き |
オブジェクト | 特定のパッケージにbless()されたリファレンス |
クラス定義 (クラス名)
- 課題ででたSorterクラス(簡易版)
# パッケージに手続きを定義 package Sorter; # クラス名 use strict; use warnings; # 続く
クラス定義 (コンストラクタ/フィールド)
# コンストラクタ (自分で作る) # Sorter->new; のように呼び出す sub new { my ($class) = @_; # クラス名が入る # データを用意する my $data_structure = { values => [], }; # パッケージ(手続き)とデータを結びつける my $self = bless $data_structure, $class; return $self; } # 続く
クラス定義 (メソッド)
#$sorter->set_values(0,1,2,3) のように呼び出す sub set_values { my ($self, @values) = @_; # $self には$sorterが入る $self->{values} = [@values]; return $self; } sub get_values { my ($self) = @_; return @{ $self->{values} }; } sub sort { my ($self) = @_; $self->{values} = [ sort { $a <=> $b } @{ $self->{values} } ]; } 1; # おまじない
クラスの使用
use Sorter; my $sorter = Sorter->new; $sorter->set_values(5,4,3,2,1);
コンストラクタ
- コンストラクタは自分で定義する!
- new()
- リファレンス を パッケージ(クラス) で bless して返す
- blessはデータと手続きを結びつける操作
my $self = bless { field => 1 }, "Sorter";
クラスメソッドとインスタンスメソッド
- 文法的違いはない
- 定義: 第一引数を$classとみなすか$selfとみなすか
- 呼出: クラスから呼び出すかインスタンスから呼び出すか
Class->method($arg1, $arg2); &Class::method("Class", $arg1, $arg2); $object->method($arg1, $arg2); &Class::method($object, $arg1, $arg2);
フィールド
- 1インスタンスに付き1データ(のリファレンス)
- 複数のデータをもちたい場合はハッシュをbless する
my $self = bless { filed1 => $obj1, field2 => [], field3 => {}, }, $class;
カプセル化
- 可視性の指定(public/privateなど) はない
- すべてが public
- 命名規則などでゆるく隠蔽する
sub public_method { my $self = shift; } sub _private_method { my $self = shift; }
- 完全に隠蔽する方法もある(クロージャを使う)
継承
- use base を使う
package Me; use base "Father"; 1;
- 親クラスのメソッド
- SUPER
sub new { my ($class) = @_; my $self = $class->SUPER::new(); return $self; }
多重継承
- Mixiinをやりたいときなどにつかう
- 乱用しない
package Me; use base qw(Father Mother); # 左 => 右の順 1;
- メソッドの検索アルゴリズム
- Class::C3
- Next
クラスビルダー
- Perlのオブジェクト指向は手作り感満載
- newは自分でつくる
- フィールドのアクセサも自分で定義
- たいへんなので自動化されている
Class::Accessor::Fast
- コンストラクタ/フィールドのアクセサを自動的に定義
before
package Foo; sub new { bless { foo => undef, bar => undef, baz => undef, }, shift } sub foo { my $self = shift; $self->{foo} = $_[0] if defined $_[0]; $self->{foo}; } sub bar { my $self = shift; $self->{bar} = $_[0] if defined $_[0]; $self->{bar}; } sub baz{ my $self = shift; $self->{baz} = $_[0] if defined $_[0]; $self->{baz}; } 1;
after
package Foo; use base qw(Class::Accessor::Fast); __PACKAGE__->mk_accessors(qw(foo bar baz)); 1;
Class::Data::Inheritable
- 継承可能なクラス変数を作成する
use base qw(Class::Data::Inheritable); __PACKAGE__->mk_classdata(dsn => 'dbi:mysql:dbname=foo'); 1;
よくあるクラス
package UsualClass; use base qw(Class::Accessor::Fast Class::Data::Inheritable); __PACKAGE__->mk_classdata(hoge => "classdata"); __PACKAGE__->mk_accessors(qw(foo bar baz)); # メソッド定義とか 1;
Moose
- モダンなオブジェクト指向を実現するモジュール
- 柔軟かつ安全なアクセサの生成
- 型の採用
- Roleによるインタフェイス指向設計
- プロジェクトの複雑性をあげるのであまりつかわない
- 今回も原則使わないでください
UNIVERSAL
- JavaでいうObjectのようなもの
- UNIVERSALに定義するとどのオブジェクトからも呼べる
- isa()
my $dog = Dog->new(); $dog->isa('Dog'); # true $dog->isa('Animal'); # true $dog->isa('Man'); # false
- can()
my $bark = $dog->can('bark'); $man->$bark();
AUTOLOAD
- 呼び出されたメソッドがMy::Classクラスに見つからない場合、
-
- My::Class::AUTOLOADメソッドを探す
- 親クラスのAUTOLOADメソッドを探す
- UNIVERSAL::AUTOLOADを探す
- なかったらエラー
- AUTOLOADメソッドで未定義のメソッド呼び出しを補足
- method_missing
AUTOLOAD
フィールドを動的に定義できたりする
package Foo; sub new { bless {}, shift } our $AUTOLOAD; sub AUTOLOAD { my $method = $AUTOLOAD; return if $method =~ /DESTROY$/; $method =~ s/.*:://; { no strict 'refs'; *{$AUTOLOAD} = sub { my $self = shift; sprintf "%s method was called!", $method; }; } goto &$AUTOLOAD; } 1;
演算子のオーバーロード
- URI
my $uri = URI->new('http://exapmle.com/'); ... do something ... print "URI is $uri";
- DateTime
$new_dt = $dt + $duration_obj; $new_dt = $dt - $duration_obj; $duration_obj = $dt - $new_dt; for my $dt (sort @dts) { # sort内で使われる<=>がoverloadされている ... }
オブジェクト指向でプログラムを書くコツ
- 登場人物を考える。= オブジェクト
- 登場人物がそれぞれどのような債務を持つべきかを考える。
- 「カプセル化で継承でポリモーフィズムが……」とか考えても意味ない
- よりよい、わかりやすく問題をモデリングするための手段
債務とは?
- オブジェクトの利用者、メソッドの呼び出し元との約束
- 責任のないことはやらなくていい
- というか、責任のないことはやっちゃだめ
- 債務を綺麗に切り分けることで、綺麗に設計できる
オブジェクト指向のまとめ
- 手作り感あふれるオブジェクト指向
- package に手続きを定義
- blessでデータ(リファレンス)と結びつける
- コンストラクタは自分でつくる
- OO風によびだせるような糖衣
- オブジェクト指向に必要な機能は最低限ある
- しばりは少ないので無茶はしない
テスト重要
- プログラムを変更する二つの方法 [レガシーコード改善ガイドより]
- 編集して祈る
- テストを書いて保護してから変更する
なぜテストを書くのか
- テストがないと、プログラムが正しく動いているかどうかを証明できない
- 大規模プロジェクトでは致命的
- 昔かいたコードはイマもうごいているのか?
- 新しくコードと古いコードの整合性はとれているのか?
- そもそも何が正しい仕様/意図なのだろうか?
- 祈らずテストを書こう!
何をテストするのか
- 正常系
- 境界領域
- 異常系
- 100 %カバーは難しい
- 命令網羅(C0)/分岐網羅(C1)/条件網羅(C2)
- C2 とかはたいへん
PerlでTest
- Test::More
- Test::Exception
- Test::Class
Test::More
use Test::More tests => 5; use_ok 'Foo::Bar'; isa_ok Foo::Bar->new, 'Foo::Bar'; ok $something_to_be_bool; is $something_to_be_count, 5; is_deeply $something_to_be_complicated, { foo => 'foo', bar => [qw(bar baz)], };
Test::Exception
dies_ok { $foo->method }; lives_ok { $foo->method }; throws_ok { $foo->method } qr/division by zero/; throws_ok { $foo->method } 'Some::Exception::Class';
Test::Class
- メソッドにテストコードをわける
- xUnit系
- Sorterのテストをみてね!
Test::Hatena
- はてな社内で標準化中のテストフレームワーク
- Test::More/Test::Exception 他、便利な関数
- 単体テスト/結合テスト/副作用のあるテストに対応
リファクタリング
- リファクタリングとは?
- プログラムの振舞を変えずに実装を変更すること
- テストがなければ、外部機能の変更がないことを証明できない。
- テストがなければそれはリファクタリングではない
- レガシーなコードに対してはどうする?
- まずは、テストを書ける状態にしよう。
- テストを書いてリファクタリングし、つなに綺麗で保守しやすいコードを書きましょう
ヒント
ドキュメントを引きましょう
- perldoc perltoc 便利!
- 定義済み変数 $_ @_ $@
- perldoc perlvars を見るべし
- 定義済み変数 $_ @_ $@
- 関数
- perldoc -f open
- CPANモジュール
- perldoc Test::More
- http://search.cpan.org
良い本を読みましょう
- Perlベストプラクティスに準拠しているかをテストできる Perl::Criticというモジュールもあります
プロジェクトのコードを書く心構え
- コードが読まれるものであることを意識する
- なるべくわかりやすくかく
- ルールをまもる
- 暗黙のルールを知る => コードを読みまくる
- テストを書いて意図を伝える
まとめ
- Perlプログラミング勘所
- Perlによるオブジェクト指向プログラミング
- テストを書こう
- ヒント
- 今日かいて今日はまろう
- と言っても時間はあまりないので無理せず
課題
課題1
この講義をふまえて、事前課題で作成したSorterクラスを改良・完成させてください。
以下再掲
以下のようなインターフェースをもつ、整数値を昇順にソートするソート器クラスをPerlを用いて実装してください。余裕がある人は、アルゴリズム別のSorterのサブクラスを実装してみてください。
my $sorter = Sorter->new; $sorter->set_values(5,4,3,2,1); $sorter->sort; $sorter->get_values # (1,2,3,4,5) が返ってくる
実装に際しては、以下の条件を守ってください。
- Perl組み込みのsort関数やソートを行うためのCPANモジュール を利用しない
- アルゴリズムはクイックソートを用いる
課題2
オブジェクト指向連結リスト My::List を作成してください。(C言語で良く使われる連結リストデータ構造を、オブジェクト指向Perlで書いた物、と思ってください。)
リストの各要素には任意のデータ (スカラー、オブジェクト、リファレンス etc) を保存できるものとします。連結リストはオブジェクト指向インタフェースを持ちます。リストの要素を先頭から手繰る(たぐる)のにイテレータを用意してください。
My::List のプログラムインタフェースは以下のようになるでしょう。例は、リストに "Hello" "World" "2008" という 3 つの文字列を保存して、イテレータでそれらを取り出し出力するコードです。
my $list = My::List->new; $list->append("Hello"); $list->append("World"); $list->append(2008); my $iter = $list->iterator; while ($iter->has_next) { print $iter->next->value; }
リストの各要素は My::List 内に配列として保持するのではなく、ハッシュベースなリスト要素のオブジェクトをリファレンスで繋いだ連結リストとして保持する、という点に注意してください
- 連結リストがどのようなデータ構造か分からない場合は『定本 Cプログラマのためのアルゴリズムとデータ構造 (SOFTBANK BOOKS)』 P.50 - 66 を参照してください。(なお、連結リストなどはアルゴリズムとデータ構造の基礎ですので、その知識がない場合は本書籍を通読することをお薦めします。)
- イテレータについては『増補改訂版Java言語で学ぶデザインパターン入門』の第一章を参照してください。
両書籍とも、会社の本棚にあります。
課題3(オプション)
twitterもどきをつくろう。
以下のようなことができる小鳥オブジェクトを実装してください。
- 小鳥はつぶやくことができる
- 小鳥は他の小鳥をfollowできる
- 小鳥はfollowしている小鳥のつぶやきを見ることができる
いろいろな設計方法が考えられます。すっきりしたかっこいいのを考えてみましょう。
余裕があれば、mentions(@記法)やunfolllow や block、 lists などの機能も実装してみてください。
プログラムのインターフェースは自由です。例えば以下のようなインターフェースが考えられます。下の例では、SmallBirdクラスしか存在していませんが、つぶやき全体を管理するクラスがあっても良いかもしれません。Observerパターンを使ってみてもよいでしょう。
use Bird; my $b1 = Bird->new( name => 'jkondo'); my $b2 = Bird->new( name => 'reikon'); my $b3 = Bird->new( name => 'onishi'); $b1->follow($b2); $b1->follow($b3); $b3->follow($b1); $b1->tweet('きょうはあついですね!'); $b2->tweet('しなもんのお散歩中です'); $b3->tweet('烏丸御池なう!'); my $b1_timelines = $b1->friends_timeline; print $b1_timelines->[0]->message; # onishi: 烏丸御池なう! print $b1_timelines->[1]->message; # reikon: しなもんのお散歩中です my $b3_timelines = $b3->friends_timeline; print $b3_timelines->[0]->message; # jkondo: 今日はあついですね!
課題に取り組む際の注意点
- できるだけテストスクリプトを書く
- 少くとも動かして試してみることができないと、採点できません
- 課題の本質的なところさえ実装すれば、CPANモジュールで楽をするのはアリ
- 何が本質なのかを見極めるのも課題のうち
- 余裕があったら機能追加してみましょう
課題の採点基準
各課題の満点 = 課題1: 4点 + 課題2: 4点 + 課題3: 2点 = 10点
- 講義および教科書の理解度が課題の実装に反映されているかどうか。
- テスト用スクリプトが実際に動作するかどうか。
- 設計・コードがきれいに書けているかどうか。
- 独自に機能追加が行われているかどうか。
- 課題1と課題2をじっくりやったあと3に挑戦してください