こんにちは、id:chris4403 です。この記事は、はてなエンジニア Advent Calendar 2018の1日目の記事です。
前置き
ここ数年、音声メディア(いわゆるPodcast)に興味があり、いろいろと試しています(ということを去年のアドベントカレンダーでも書いてました)。
記事の中でも触れているように、数年前から社内向けのPodcastサービスを作って運用しています。今回は、このサービスを使って運用している社内向けPodcastについて書いてみたいと思います。エンジニアアドベントカレンダーに適した内容なのか、はちょっと自信ないですが、Podcastに興味があるエンジニアの方は多そうなので、気にせず書きます。
また、エンジニアの方でPodcastに興味がある方は、yatteiki.fmのみなさんが書かれている「今日からはじめる「技術Podcast」完全入門 (技術書典シリーズ(NextPublishing))」を読むことをおすすめします。始め方やコンテンツの作り方など、作り手の側に立った情報が詳しく書いてあります。本記事の内容もこの本に少しかぶる部分があります。
今日からはじめる「技術Podcast」完全入門 (技術書典シリーズ(NextPublishing))
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Hatena FM と karasuma FM
社内向けのPodcastサービスの名前は Hatena FMとしています。サービス自体を作ったのは 2016年の6月頃で、社内にサービスを公開して、スマホで録音した雑談を共有していました。公開頻度は不定期で、時間は数分〜10分くらい、内容は仕事の話やプラベートの話をインタビューもしくはモノローグ形式でと、今振り返ってみると手探り感がかなり出ています。
そこから、一旦更新頻度が落ちて、思い出したように、社内の映画好きと最近見た映画について話すコンテンツをアップするという日々が続いていました。やっている中で、聞き手だけでなく作り手側の視点からも音声メディアの良い点悪い点がつかめてきました。
で、今年の7月に、毎週ある程度決まったフォーマットでコンテンツを作るのができるのかどうかを体験してみようと思い、社内で毎週情報発信する番組を始めてみることにしました。CTOのid:motemenと相談して、番組名を karasuma FM(はてなの京都オフィスがあるのが烏丸御池というエリアにちなんでます)と名付けました。
2018年7月11日から毎週水曜日のお昼に公開していて、先日21回目を公開しました。
と、言葉で書いても伝わりにくいので、今回この記事で外部に公開するようにひとつ収録したので、お時間のある方は聴いてみてください(今回はsoundcloudを使ってます)。
画面イメージもあると分かりやすいので、トップページと詳細ページのサンプル画面を貼っておきます。デザインを作り込んでいない(Bootstrap感丸出し)なところは目をつぶってください。
コンテンツの作り方
収録
コンテンツはiPhoneで収録しています。
マイクは「SHURE コンデンサーマイク MOTIVシリーズ MV88A iPhone iPad用 24bit/48kHz MV88A-A 【国内正規品】」を使っています。iPhoneのLightning端子に刺して使う指向性マイクで、スマホ本体のマイクよりもいい感じに録音できます。このマイクをスマホに挿して、持ち運びできるタイプのスマホスタンドに立てています。収録時に、iPhoneの画面の自動ロックをオフにして、機内モードにする(収録中の着信を避ける)のがポイント。
収録時間は30分ほどで、最初の数分で簡単に打ち合わせをして、20分間くらいをめどに収録しています。
コンテンツの長さについては、諸説ありますが、現時点で自分が一番まとまった形にでき、かつ聞いている方も最後まで聞けるというラインが20分前後なのではと思っています。
収録のペースは、週0〜2回くらいで、2回収録して翌々週までストックができたら翌週の収録はしていません。
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また、ひとり語りは話し手のスキルがかなり問われるので、スタッフを誰か招いて、そのスタッフが手がけているプロジェクトや仕事について話を聞くという形式を取っています。音声の社内報をイメージしてもらえたら近いかなと思います。
編集
収録したファイルをPCに転送して、編集ソフトに取り込みます。
私はMacを使っているので、GarageBandを使っています。
ソフトを使って、最初と最後に音楽を挿入し、(ほとんどやりませんが)不要な箇所をカットします。
収録の状況に応じて音量を調整し、最後に、MP3形式でファイルを出力します。
当初、音楽は使っていませんでしたが、最初と最後に少し入れるだけで、なんとなく「ラジオ番組」の形になるので、途中の回から使うようにしました。使っている楽曲は、権利関係の調整が不要なように、ソフトを使って自作しました。ここで使ったのは、KORGがリリースしているNintendo Switchの「KORG Gadget for Nintendo Switch」を使いました。このソフトで作曲はできますが、曲を直接出力することができないので、このソフトと連携できるiOS用のアプリ「KORG Gadget for iOS」に転送して出力しました(転送が複数のQRコードを介して行うのがおもしろ体験でした)。
編集作業自体は、なれてきたら1本10分以内で終わるようになりました。ただ、出来上がったコンテンツをチェックすると、これに加えてコンテンツの長さの時間は必要になります。
公開
公開は、毎週水曜日のお昼休みの前後にしています。
Hatena FM上で「Draft(下書き)」状態にしているコンテンツを、「公開」状態に切り替えて、スタッフ全員宛に、はてなグループでトラックバックを送っています(全社メールだと思ってください)。
あるスタッフから「いつ聞いたらいいのかわからないので、お昼休みや午後の眠い時間のBGMとして聞いてください、みたいなひとことがあるといいかもしれません!」とアドバイスをもらったので、そういう文言を付け加えるようにしました。
フィードバック
再生回数を記録するようにしていて(ページに表示してます)、気にするようにしています。
一番多く再生されているもので60回強、平均30回再生くらい。スタッフが120名強なので、25%くらいのスタッフが聴いてくれています。内容や聞きやすさ(アプリがない)などを考えると、妥当な数字かなと思っています。
再生回数の他に、Slackに連携していて、コンテンツが公開されたり、誰かが再生ボタンを押したタイミングで書き込みがあるようにしています(誰が聞いているかはわからないようにしています)。
ここを見ていると、新しいコンテンツをきっかけに、以前に公開しているものが再生されたりする様子が見れるので、作っている側として聴いてくれている人がいるという実感が持てます。
音声メディアをやってみて思ったのが、発信側、作り手側へのフィードバックの作り方が難しいということです。テキストメディアや映像メディア(スマホ)は、コンテンツを消費している瞬間、手元にスマホがあり、画面を見ているので、おもしろいと思った瞬間に「いいね」やコメントなどの反応が取りやすいですが、音声メディアは何か別のことをしながら聴かれていることが多いので、コンテンツそのものに対して何らかのフィードバックを返しにくい構造になっています。
なので、もしみなさんにお気に入りのラジオ番組やPodcastがあったら、良い感想や応援メッセージをTwitterなどに書いてぜひ応援してください。
ちなみに、karasuma FMは、定期的に「聴いてます」「あの話が良かったです」と言ってくれるスタッフが数名いまして、その言葉に支えられながら続けています。
アプリケーションとしてのHatena FM
エンジニアアドベントカレンダーなので、少しだけHatena FMで使っている技術要素を紹介しておきます。
アプリケーション自体はPerlで書いていて、音声ファイルのホスティングと変換、配信の部分にAWSのManaged Serviceを使っています。
音声ファイルをアップロードすると、サーバーからS3にPUTし、それをTriggerにしてLambda Function経由でファイルをElasticTranscoderに渡して最適な形式に変換し、S3に再度PUTしています。
また、試行錯誤中に作った機能として、ブラウザで録音する機能があり、レコーディング用のページを開いて録音ボタンを押すと、PCのマイクを入力にして録音できます。ブラウザの音声認識の機能を使って、文字の書き起こしも試してみましたが、APIの利用制限や、精度、また複数人で喋ったときに書き起こされた文字では誰が喋ったかが反映されない、などの問題があり、実用にはまだ工夫が必要という状況です。
Hatena FMの今後
音声メディアについて、知見がたまってきたので、何らかの形でサービスにフィードバックしていこうと思います。
そもそもこのサービス自体を、はてラボに出そうかなとも考えましたが、現状音声ファイルを聞くだけのサービスなので、もう少しサービスとしての工夫を加えてからのほうが良いかなと迷っています。
今後はてなのサービスで、これ系の機能が加わったら、id:chris4403が言っていたあれかな、と思いだしていただければ幸いです。