企業技術ブログを集めたページをリリースしました――企業の技術ブログのためにはてなブログができること

こんにちは。はてなブログ 法人ブログチームでサブディレクターを担当しております、id:AirReader と申します。

本日、はてなブログで展開している企業の技術ブログの記事を一覧できるページをリリースしました。掲載対象のブログは400社以上で、多くの企業が活発にブログを更新しています。
hatena.blog

「企業が発信している良質な技術、技術組織の取り組みをより多くの読者に届ける」をミッションに開発しています。ぜひ、日々の情報収集のルーティンに組み込んでいただいたり、エンジニアの雑談のネタ帳としていただいたり、技術ブログ執筆のモチベーションの一つとして活用いただいたりできればと思います。

良い機会ですので、企業の技術ブログによる情報発信について、はてなブログのプラットフォームとしての意義について、考えたことをまとめてみたいと思います。

企業の実例が面白い

開発中はたくさんの企業の技術ブログを読みましたが、「企業」の「実例」に触れた記事に特色があり良いと感じました。良さを簡単に分類すると「組織の話」「プロダクトに関する話」「知っているサービス・企業の話」などに分けられそうです。それぞれもう少し詳しく見ていきます。

組織の話

組織の話、というとすこし範囲が広いような気がしますが、持続的なソフトウェア開発と組織を構成するための話と捉えています。そして、「組織のメンバーに向けてどのように労働環境を設計するのか」、ひいては「どのような生活を提供するのか」という、組織の個人の生活への眼差しが必要不可欠になっているように感じています。

例えば、育児休業の取り組みや体験談、リモートワークの体験談はよく投稿されますが、これはワークライフバランスに直結するものです。また、勉強会や部活動のような、組織の文化・風土に関するものも多いです。コロナ禍によるリモート推進によって、仕事と生活の関係が見直されたり、企業文化の維持にも注目が集まっているのかもしれません。

組織の話が読めるトピック

実際のプロダクトへの施策

実際のプロダクトに関する施策は複雑なものになりがちです。リリース前であれば、戦略計画や価値検証、リリース後であれば既存利用者や既存機能なども考慮に入れる必要があります。現場にリリースしていくことの難しさや経験知が共有されることは、その施策が成功であれ失敗であれ、非常に価値があるものだと考えています。

知っているサービスや企業の発信

知っているサービス・知っている企業の発信だと、施策の解像度が上がりますし、裏側を知れるのは単純に楽しいですし、親近感を持ちやすいです。例えば、少し前になりますが、以下の記事が盛り上がっていましたね。
サーバダウンしたニコニコ漫画に何が起きていたのか - BOOK☆WALKER Tech Blog
はてなでも、先日はてなスターに関するひみつが公開され、こちらも盛り上がっていました。
はてなスターのひみつ - Hatena Developer Blog

1年以内に更新された企業と最新記事が一覧できるページも提供しています。知っている企業を探してみると面白いかと思います。
企業一覧 - 企業技術ブログ

はてなブログの課題

企業の技術ブログの良さと、はてなブログに投稿されている記事の良さを認識したものの、サービス提供者としてもっとできることがあるのではないかという課題も認識しました。

記事を求めている人に届けられるように

私は仕事柄はてなブログで運営されている技術ブログをよく見る方だと思うのですが、それでも「こんなにいい記事があったのか」「こんな企業も技術ブログをやっていたのか」ということが度々ありました。
「はてなブログ」という機能だけではなく、読者と企業技術ブログ記事とのマッチングも促進していくこともはてなブログの役割だろうと考えています。

手始めの解決手段として、すでに各社から投稿されている記事を参考に記事を分類することにしました。技術的な分類だけでなく、前述の通り「働き方」や「企業文化」など組織的な取り組みも読めるようにしました。分類の際は、社内のエンジニアに見てもらいつつ、項目を増やしたり調整を行いました。
例えば「失敗談」は、読む側としては知見が得られる良いものですが、書く側としては通常の技術記事とは異なる困難さがあるので、リスペクトしたい、発見される機会を増やしたい、という議論から追加されました。

もし、こういうトピックでも読みたい、というご要望がありましたら、ページ内のアンケートフォームからフィードバックをいただけますと幸いです。

発信の継続を支援したい

もうひとつの課題として、企業技術ブログの継続の難しさがあります。執筆の依頼、執筆の時間の確保、モチベーションの維持、KPIの設定をどうするか…など、様々な課題があります。これについては、各社、様々工夫をされており、エントリーを公開されています。
俺たちはなぜテックブログを書くのか〜ブログの効能と書き方とメンタル的TIPS〜 - Yappli Tech Blog
テックブログを継続するためにやっていること - RevComm Tech Blog
祝100記事!技術ブログを継続する意義について - M&Aクラウド開発者ブログ
頑張りすぎないテックブログを目指して - OpenWork Tech Blog
弁護士ドットコムクリエイターブログの軌跡と振り返り - 弁護士ドットコム株式会社 Creators’ blog
ブログは資産!「はてなブログ DevBlog Online Meetup」イベントレポート - 週刊はてなブログ

しかしながら、はてなブログとして継続のための支援ができているかというと…、まだまだ改善の余地があると考えています。
例えば、以下のような機能では、継続の支援に繋げられていると思いますが、もっと改善・洗練できると考えています。

  • 企業の技術ブログに、個人のIDで投稿できるため、双方のブランディングに役立つ
  • はてなブックマークを始めとするエンジニアコミュニティのフィードバックが得られやすく、著者のモチベーションにつながる
  • APIの提供による柔軟なワークフロー構築が可能
  • HTML/CSS/JSが自由に書けてブランドイメージに合わせた柔軟なデザインが可能

他方、技術ブログを書く文化を根付かせる支援はできていません。ゆるく継続するためのお題機能、ユーザーインタビュー、イベントなど、手段はまだ検討中ですが、企業様の発信を継続するための力になれるような施策ができればと考えています。今後にぜひご期待いただければと思います。

終わりに

「はてなブログ for DevBlog 」プランの提供趣旨について、以下のように公開しています。

技術者の情報発信によるコミュニティへの技術の還元は、技術や周辺環境の発展・循環を加速させます。はてなやはてなのサービスもまた、このような活動により支えられ、発展してきました。はてなブログとしても、企業による技術情報発信を支援したく、このような優遇プランを提供しています。

はてなブログ for DevBlog - はてなブログ ヘルプ

今回公開した企業技術ブログ集も、この趣旨に沿ったものになります。プランによる優待に限らず、企業による技術情報発信を支援し、ソフトウェア開発の発展に寄与できればと考えております。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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